日本はデフォルトするか?

円が消滅する日 (日文新書)

円が消滅する日 (日文新書)

日本の国債がデフォルトに陥って、円安・債権安・株安のトリプル安になり日本円が紙屑になるので海外に資産を移そう、特に覇権国家であるアメリカのドル以外にありえない、という内容。

読んでてあまりに分かりやすい悲観的シナリオを描いているので、実際そうなるかは疑問だが、どの道デフォルトになるしろ大増税になるにしろインフレになるにしろ、今までのツケをこれから支払わなければならないのは確実であるので、覚悟、準備を備えなければならないという意味で著者に大方賛同する。

アマゾンレビューをみての意見。
本書のような日本危機論に対して、激しく批判している者は非常に感情的で全否定する内容で、本書を肯定的に受け入れている者は冷静な分析と懐の深さを感じる意見を述べている。それに本書の趣旨とは離れた見当違いなレビューもちらほら、読解力を疑う。このこと自体が日本の状況を物語っていないだろうか?つまり、危機に陥った、あるいは陥っている国アルゼンチン、スペイン、イタリア・・を見ればよくわかる。よく言えば情熱的だが楽観的で冷静な分析を好まないお国柄ではなかろうか。デフォルト?しらねーよ、どうにかなるさ、政治家が全部わるい、みたいな短絡的思考形態。結局日本人のお気楽さがここまで借金を作ってしまったわけだが、これは場たり的な人間が多いことの証明だろう。

これだけの借金と経済、社会状況を鑑みて、本書のような悲観的シナリオを全否定するなんて狂気の沙汰にしか思えない。たとえ10%だろうが1%だろうが少なからず起こる可能性があるのなら、その話に真摯に耳を傾けるべきではないだろうか。まあ、それができなかったからこういう状況になってしまったのではあるが。

本当に危機が起きた時に備えて、少なくとも頭に入れておくべき内容である。全財産を資産フライトさせるのはちょっと難しいが、日本の郵貯、銀行だけというのも考えものだと改めて思う。

個人的には、経済的価値観なんてどうでもよく、イモでも食って生き延びればいいじゃねーか、そんなサバイバル生活もいいんじゃないかなんて少し思ったりする。