生命とは何か―物理的にみた生細胞
- 作者: シュレーディンガー,Erwin Schr¨odinger,岡小天,鎮目恭夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/05/16
- メディア: 文庫
- 購入: 13人 クリック: 99回
- この商品を含むブログ (82件) を見る
読み終わって、こんな感想が浮かんだ。
“人の能力や個性なんてものは、遺伝子の中の原子団で起きる量子飛躍という全く馬鹿げた偶然性の産物である。そこには決して必然性はない。ビリヤードボールがいろいろ当たって弾けて、ただそういう状態に収まったようなものだ。こんな見方で人を眺めてみるなら、もっと謙虚な立ち振る舞いになるであろう、と。”
生命あるものの特徴である遺伝子構造は、無生物のそれとどのように違うのかを、原子や分子の性質などの物理学的観点から描く。古典と呼ばれるものの部類に入るが、こういう主題にありがちが霊魂論など怪しげな疑似科学的な要素は一切なく、常識的な物理学的視点であるため、今でも全く抵抗なく読める。一般読者、初学者向け。