音楽の感動を科学する / 福井

音楽の感動を科学する ヒトはなぜ“ホモ・カントゥス

音楽の感動を科学する ヒトはなぜ“ホモ・カントゥス"になったのか (DOJIN選書35)

理屈はよく理解できるが、私にとって、音楽は何よりspiritsだ。spirits(精神,アルコール)と音楽があれば幸せだ。

多分、ニヒリストだと思う。

5 / negoto

5(完全生産限定盤)

5(完全生産限定盤)

予想以上の出来だ、1stより格段に進化している、よりソフィスケートされている。

バラエティーに富んだ音色が噛み合って非常にまとまりのある一枚になっている。型に捕らわれないロックな仕上がり。

代表作の一枚になるはずだ、というより世界的に見てもガールズバンドで指折りに入る、と個人的には思う。

12曲目flowerがお気に入り。Nirvanaっぽいギターのリフから入って、blurを彷彿させるようなユルさから転調して美しいメロディーへの展開は

ジワジワ浸透する名曲。

Uno! / Green Day

Uno!

Uno!

グリーンデイみたいなストレートでキャッチーなロックナンバーは時代の要請に適ったものだと思う。ロック好きといっても昔みたいに気難しい屁理屈屋は少なくなったと思うから。分かりやす過ぎる感があるにしても、並のアーティストより当たり前の如く群を抜いた楽曲のオンパレードは流石だ。


それにしても、キャリアが長い割に今でもここまでの音が出せることは特筆すべき。往々にしてバンドのパワーが落ちたり、大人になって落ち着いたりするものだが、彼らには当てはまらない。青春真っ只中のキレキレ感は健在だ。そもそも3作連続アルバムリリースなんて聞いたことない(今作は一枚目)。


昨今、パンクロックなんて絶滅危惧種みたいなものになってしまっているが、まだまだ存在感をしめしてくれ。

生命とは何か―物理的にみた生細胞

生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)

生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)

読み終わって、こんな感想が浮かんだ。
“人の能力や個性なんてものは、遺伝子の中の原子団で起きる量子飛躍という全く馬鹿げた偶然性の産物である。そこには決して必然性はない。ビリヤードボールがいろいろ当たって弾けて、ただそういう状態に収まったようなものだ。こんな見方で人を眺めてみるなら、もっと謙虚な立ち振る舞いになるであろう、と。”


生命あるものの特徴である遺伝子構造は、無生物のそれとどのように違うのかを、原子や分子の性質などの物理学的観点から描く。古典と呼ばれるものの部類に入るが、こういう主題にありがちが霊魂論など怪しげな疑似科学的な要素は一切なく、常識的な物理学的視点であるため、今でも全く抵抗なく読める。一般読者、初学者向け。

トッカータとフーガ/バッハ:オルガン名曲集

トッカータとフーガ/バッハ:オルガン名曲集

トッカータとフーガ/バッハ:オルガン名曲集

  • アーティスト: ヴァルヒャ(ヘルムート),バッハ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2012/05/09
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バッハは音楽の旅における北極星だーー
“The non-violence practiced by men like Gandhi and King may not have been practical or possible in every circumstance, but the love that they preached -- their fundamental faith in human progress -- that must always be the North Star that guides us on our journey. ”
By オバマノーベル平和賞演説

物理学とは何だろうか〈下〉

物理学とは何だろうか〈下〉 (岩波新書 黄版 86)

物理学とは何だろうか〈下〉 (岩波新書 黄版 86)

上巻を読んでエントロピー概念が十分に把握できなかった、と前に書いた。
下巻は、正にそこに内容を絞っている。熱力学と、それと深い関係性があるエントロピーに関する記述で占められている。

原子論的な考え方が現れ初めた当時、熱エネルギーは、どうやら物質の分子の飛び交うエネルギーであり、どうやらそれはエントロピーが増大する方向と結び付けられている、ということがわかり始めていた、それに対しボルツマンやマックスウェルは、確率の考え方を援用しつつ数学的手段を用いて、熱力学を確固たる物理学の法則まで築き上げるのに貢献した。というのが大ざっぱな内容である。
下巻のほとんどは、熱力学の数学的定義に関する分析が述べられている。数式はあまり出てこず、それほど難解ではないのだが、多少クドイ感があった。

「科学と文明」と題された付録は、講演の書き下しである。本来はこの主題を本書に入れる予定だった。だが、朝永先生の急逝により実現しなかった。これは科学に対する哲学的思考であり、単なる専門家に堕しない、先生の力量を垣間見せてくれる。この主題が未完に終わってしまったことは惜しまれる。

朝永先生の物理学史

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

主な内容。

中世においてまだ支配的であった占星術のような前科学的な体系から、ケプラーガリレオニュートンにいたる中で、学問体系としての天文学が確立されていく過程。そのうち、記念碑的出来事であるニュートン力学について。

他方、同じ時期まで影響力が残っていた錬金術から、化学が生まれくる歴史。原子論に近い考えをまとめて、その先駆けとなったボイルについて。

最後に、ワットの蒸気機関の発明から熱の科学の発展。そこから導かれるエネルギー保存則とエントロピー増大則について。そこでのカルノー、クラウジウスの貢献について。


私にとってはエントロピー概念についての記述がもっとも集中して読んだところだった。でも、すっきり理解できない感は多少残ったが。