アンドロメダのA

アンドロメダのA (ハヤカワ文庫SF)

アンドロメダのA (ハヤカワ文庫SF)

人工知能の本を読んでてこの本を知った。

ある時イギリスのある電波望遠鏡が、宇宙のはるか彼方の星アンドロメダからの、ある長大な通信文を捉えた。それを解析し翻訳してみると、なんとそれは高性能コンピュータの設計図とプログラムとデータに関するものであった。しかも、それは組み立ててみると人間を超える知能を持っていることが明らかになり、その目的は通信文を受け取った星を乗っ取り、アンドロメダ支配を意図するものであったのである。
そして、支配を目論む高性能コンピュータと、その知識から生み出された人間の能力をはるかに超えるアンドロイド(人造人間)は、巧妙な手口で人々がそれとは気づかぬようなやり方で人間社会に食い込んでいく。一方で、コンピュータの真の目的に気づいた科学者はそれを阻止せんがために知能をかけてコンピュータとせめぎ合う。機械と意識そして知能、これらの境界とボーダレス、この微妙で神秘的な問題を描いていく。

この小説の面白いところは、もしこのような技術が実際可能であったなら、脳を含めた人間の設計図、プログラム類をコンピュータに打ち込んで電波に乗せて、宇宙のどこかに受信装置を造ってそれを受信させたなら、元の人間と同じ人間がもう一人出来上がってしまうことだ。こんなことは論理的には可能と思われるので、そうすると自分のアイデンティティーってなんだ?って考えてしまう。全く自分と同じ人間がもう一人、なんて想像できない。