科学哲学講義 (ちくま新書)

科学哲学講義 (ちくま新書)

科学哲学講義 (ちくま新書)

入門書として楽しく読めた。丁寧で柔らかい語り口で読みやすい。
途中、論理的というか屁理屈というか、頭が混乱するようなところもあったが。
でも、整理して考えること自体が楽しかったりする。

科学的判断はいかにしてなされるか、正しいとされる科学的証明はいかにして導かれるか、ということがテーマ。
最近話題になった、光より速いニュートリノに対する反証された実験の記述もある。仮に光より速いニュートリノが証明されたとしても、ただちに相対性理論が破られるわけではないという。理論というものは無機質な硬直した融通の利かないものではなく、有機的に柔軟に対応ができるものであるからだ。だからと言って、恣意的に扱えるものでもなく、厳格な証拠や枠組みに照らし合わせなければならない。その辺の微妙なバランスが理解されるはずだ。

インチキ、詐欺的物事があふれる世の中で、まっとうなことをまっとうに考え判断する、常識的な目を開いてくれるだろう。

参考文献をもっとたくさん載せてほしかった。